クラウド不要の360度画像活用──北海道パワーエンジニアリングの選択

現場の360度パノラマビューを、自分たちで簡単に作成できました

発電所の保守・点検業務を担う北海道パワーエンジニアリング株式会社様では、現場の技術継承遠隔地での情報共有に課題を感じていました。クラウド利用が難しいという制約の中で、それらを解決したのが360度画像活用ソフト「ActlocateⓇ」でした。今回は、Actlocateをいち早く導入された同社に、導入の背景や活用方法、今後の展望について伺いました。

 

 

──本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。
まずは、貴社およびご所属部署の概要をご紹介ください。

担当A様:私たちカイゼン推進チーム北海道パワーエンジニアリングの本店に位置しております。私たちは業務改善活動を担当しており、技術部門や机上業務部門といった特定の分野に限らず、全社的な改善活動をサポートするチームです。

──北海道パワーエンジニアリング様は北海道電力のグループ会社として、北海道の火力発電所や原子力発電所における設備の日常運転保守や定期検査・点検、自社発電所による発電など、道内の電力安定供給の一翼を担っていらっしゃいますね。

担当A様:はい、発電設備の保守・運転管理・発電事業・環境測定などを主な事業としています。

──日常的にメンテナンス検査を数多く実施されている企業様においてのActlocateのご活用ということで、多くの読者様に関心を持っていただけるのではないかと思います。

 

Actlocate導入まで

立ちはだかる情報共有の壁──”クラウドNG”の制約が生んだ悩み

──Actlocateを導入する以前、貴社にはどのような課題がありましたか?

担当B様:当初は、一般的なデジタルカメラを使用して現場管理を行っていました。しかし普通のデジタルカメラでは撮影漏れ情報不足のケースが発生します。場合によってはもう一度現場に行って撮り直すということが起きており、現場管理の作業効率や正確性の面で課題がありました。

──360度カメラなら、1回のシャッターで全方位撮影できますし、撮影漏れが減りますね。

担当B様:一方で、当社は発電所に関わっている関係上、情報セキュリティポリシーが厳しく、メーカーが提供しているようなクラウドサービスの利用が難しい状況です。公式が提供する360度画像の管理ソフトを活用できないのです。

つまり360度カメラは大変良いものなのですが、閲覧しかできないということでは、360度画像活用の幅が広がっていきません。このような課題を感じていました。

── なるほど、データ管理の面で良さを活用しきれていなかったと。同様に、機密である現場写真をクラウドサービスにアップロードできず、結果として360度画像の活用が進まないという課題を複数の企業様から伺っております。機密を外部に出さずに、手元で活用できる。ローカルで完結するActlocateの特長をお役立ていただけているとのこと、大変光栄に感じております。

 

「これだ!」と確信──図面と360度画像を直感的に結ぶ

──Actlocateを知ったきっかけはどのようなものでしたか?

担当B様:きっかけは、貴社から「360度画像で現場を見える化するツール」とご紹介いただき、プロトタイプを拝見したことです。

開発中のActlocateを見たときは、正直どんな雰囲気のソフトなのか印象をつかみきれませんでした。ただ、その後に意見交換の機会をいただいたことで活用アイデアがいくつも浮かび、「360度画像をフル活用するならこれだ」とピンときました。

──その節は、大変お世話になりました。

担当B様:特に印象的だったのは、課題になっていた「360度画像と図面の紐づけ」が直感的にできることでした。図面上で「どこの画像なのか」がすぐに分かるのは大きな魅力でしたね。さらに、クラウドではなくローカルで完結するソフトウェアである点にも強く惹かれました。

──実は北海道パワーエンジニアリング様は、Actlocateのご導入第1号の企業様です。こうしてインタビューにご協力いただけていることも、大変光栄です。誠にありがとうございます。

担当B様:ナンバーワンですね(笑)

──360度画像はとても便利ですが、今見ている場所が全体のどこであるかが、単体の画像だとわかりにくい。これがレイアウト図面や地図と紐付けできるというところに、非常に高評価をいただいております。

 

非デジタル派も「10分でマスター」──”サクサク作れる”バーチャルツアー

──それでは実際にActlocateをお使いになって、使い勝手や操作性に対してはどう感じられましたか?

担当B様:私自身、それほどデジタルに強いわけではありません。それでも一度使い方や作り方を教えていただいたところ、次からは自分でサクサクとバーチャルツアーを作れました。時間もかからず、非常に簡単だと感じました。

一度作った経験があれば、小規模な現場のコンテンツはすぐに作れます。他の社員も同様ですね。Actlocateの操作は非常にシンプルだと感じています。

──Actlocateは習得しやすく、10分・20分程度ですぐに使えるようになったと多くご好評をいただいております。このシンプルさが、導入ハードルの低さ、そして導入コストの削減につながっていると考えております。

 

機密も安心のローカル完結 ──現場にフィットするActlocate

──導入はスムーズに行えましたか?

担当B様:情報セキュリティの観点で、情報システム部門との調整を行いました。「こういったコンテンツを使っていいのか」という心配はありましたが、ローカルで動くソフトウェアということですんなり通りました。

──導入検討の際に、他社製品との比較はされましたか?

担当B様:展示会などでいろいろ見ていたのですが、やはりどこもクラウドサービスばかりで、ローカルで動作するものはなかなか見つかりませんでした。そのため、他社製品との比較検討はしていません。

──「ローカルで完結」できることは、Actlocateの独自性と考えております。 それでは最終的に購入の決め手となったのは、どういったところでしたか?

担当B様:Actlocateは今まであった課題に対して対策を打てる製品です。360度画像をまず図面を紐付ける。さらに紐付けたところにさまざまなデータが添付できる。作業要領書や機器の詳細図面、CAD図も貼ることができ、いろんな情報を紐づけられる。こうして情報を集約し、見える化を進めることは、属人化の防止につながると考えております。

基本機能は要望をほぼクリアしているというところで、最後の決め手はローカルソフトウェアであることでした。

──なるほど、やはり「ローカルで動く」ことが決め手だったのですね。

 

北海道パワーエンジニアリング様の活用事例

全社展開を目指すカイゼン推進──教育と情報共有の新しいカタチ

──Actlocateを社内展開してくださっているとのことですが、主導されているのは担当B様でしょうか?

担当B様:はい、私です。これから担当Aからもご紹介しますが、私たちカイゼン推進チームが率先してコンテンツを作りながら全社への展開を進め、より社内での活用を広げていこうとしている段階です。各部署の担当に操作を覚えてもらい、気軽に使用してもらえる土台作りをしています。

──誠にありがとうございます。 それでは次に、Actlocateをご利用いただいている施設、設備がどのようなものかを伺えますか?

担当A様:私たちカイゼン推進チームは、今年度Actlocateを北海道パワーエンジニアリングの全店に広げていくことを目標に活動しています。背景には、全国的に人材育成の要員が逼迫していること、また若手への教育が難しいという状況があります。

──若手への教育。世代間の継承は、大きな課題ですね。

担当A様:初めて現場に入る場合や遠方の状況がよく分からない場合、従来は何度も現場に足を運ぶ必要がありました。そこで、Actlocateで360度パノラマデータに様々なデータを紐づけすることで、全店の技術員や社員がどこにいても様々な現場の状況を把握でき、スムーズに工事に入っていける。これで効果的な教育体制ができるのではないかと。

操作方法や撮影からデータ化まで、担当Bを中心に各部署の担当者へ教えながら展開を進めています。Actlocateには機器の図面や前回点検した記録なども添付できます。作成したコンテンツを技術情報として全社展開し、皆の困りごと解決に役立てていきたいというイメージです。

──属人化を防止し、さらには若年層への教育コンテンツを兼ねると。社内で広く共有できる現場のバーチャルツアーで「見える化」に取り組んでいらっしゃるということですね。

担当A様:そうですね。我々北海道パワーエンジニアリングの場合、発電所だけでなく、外販(※1)という言い方をしているのですが、発電所以外の遠方地域に工事案件が多数あります。そこの情報を工事担当者が顧客了承のもと撮影を行い、次回行く若い人たちへの情報伝達にも活用しています。

※1:内販=発電所内の工事、外販=発電所外の工事を指すとのこと。

──作成したコンテンツを共有された側の方のご反応はいかがでしたか?

担当A様:最近は島嶼(※2)の発電所向けにコンテンツを作成しています。島嶼はなかなか訪問できない場所なので、現場に行かずに状況を把握できる点が非常に好評です。

実際に、経験豊富な上司がActlocateの360度画像を見て、「この箇所でこんな状況が発生していたのか」と現場の様子を把握でき、組織内の情報共有に活用できたという声をいただきました。まだ作成途中ですが、今後もこうした活用事例を広げていきたいと考えています。

※2:島嶼(とうしょ・大小さまざまな島々のこと)

──なかなか足を運べない遠隔地の情報共有には、まさにぴったりですね。

 

360度画像を全社員に──広がる教育、引継ぎの手応え

──Actlocateを導入したことで、時間短縮やミス削減、業務改善などの定量的な変化はありましたか?

担当A様:今はまだ全社展開を第一目標に据えている段階ですので、具体的な成果に結びついたという定量的な評価はこれからですね。一方で、現場の引き継ぎ教育関係に役立っているという声が聞こえているのは確かなところです。今の離島の話は特にそうですね。

──ご好評いただけているとのことで、大変光栄です。 Actlocateをご活用いただく中で、試行錯誤されている問題はありますか?

担当B様:課題はデータ容量と保管先の問題です。大きくなると数GBに達するため、社内のインフラ状況によっては保管場所の確保が課題となります。

──Actlocateはデータに圧縮をかけませんし、たくさん使っていただくほど、データが蓄積されていきますからね。

担当A様:今のところはそれくらいですね。社内でクラウドを導入する予定ですので、そうなれば保存できる容量も増えます。容量の問題はやがて解消されていくのではないかと思っています。

また全社的にどうやって使うかという基本方針についても模索中です。どこまで、どのような密度で撮るのかといった基準も含めて、各主管(部門)と相談しながら考えていこうと思います。

──ありがとうございます。これからもより使いやすいソフトを目指していきます。

 

「百聞は一見にしかず」──現場不安を解消する360度パノラマの力

──Actlocateのどういったところが一番役立っていますか?

担当B様:360度パノラマ画像を業務に取り入れることを進めたのは私なのですが、パノラマカメラを導入すれば、飛躍的に業務改善できるのではないかと期待していたのです。それが実際には思ったよりも活用できず、ショックでした。先ほどもお話しましたように、外部サービスの利用に制限があることによって、せっかく360度画像を撮っても活かしきれなかったのです。

──今はクラウド前提のソフトがほとんどですね。

担当B様:そんな矢先にActlocateに出会いました。図面と360度画像を紐付けできて、どこの写真かがすぐわかる。これが第一にいいなと思います。

私は施工管理畑で育ってきたのですが、訪れたことのない現場には、ベテランでも最初は何かしら不安感があります。そんな時にActlocateで360度バーチャルツアーを見て、設備を確認してから現場に赴けば、不安感も解消されると思います。

これから工事に行く若い方に、事前教育としてお見せしたことがありますが、そこでも「なるほど、こういう状況か」と理解が早く進むのです。百聞は一見にしかずですね。

──事前に場の雰囲気をつかんでから行くと、やはり全然違いますね。

担当B様:様々なデータを格納できるので、活用の幅を広げていけるところも本当にいいなと感じています。

──教育用コンテンツとしても、データを集約するプラットフォームとしてもご活用いただいているのですね。誠にありがとうございます。

 

発電所まるごとバーチャル化──広大な現場を“歩かず確認”

担当A様:実際に作ったコンテンツを見ていただきましょうか。こちらの発電所なのですが、1階から8階まで発電所まるごと撮ってみようと。まずバーチャルツアーを作って、ここからどんどんデータを追加していくイメージです。

発電所構内の外回りも撮りました。ここはとても広いのですよ。外回りを歩いて見に行くのにかなりの時間がかかるので、10mスパンぐらいで2時間、3時間ぐらい歩いて撮ってきました。

これがあれば設備更新のための確認作業でも、相当な時間が短縮できるのではないかと思います。岸壁の劣化状況を確認するなど、補修計画に使えそうです。PDF資料や図面の機器情報を入れていきます。

──これはすごいですね。貴重なご活用事例を共有いただき、ありがとうございます。先ほどの離島のケースと同様に、このような広大な施設をざっと確認したいというケースでも、360度パノラマビューの本領発揮ですね。

 

Actlocateをおすすめするなら?

現場DXの入り口に──Actlocateが選ばれる理由

──Actlocateをフル活用いただいている状況を拝見できて、感激しております。
本日は貴重なお話をありがとうございました。最後にこの記事を読んでいる方にActlocateをおすすめするとしたら、どのような点を強調されますか?

担当A様:私は第一印象から、「自分で簡単に作れる現場のストリートビュー(※3)」と説明しますね。撮って貼っていくだけで誰でも作れるのがいいです。

※3:GoogleストリートビューⓇはGoogle社の商標です。

担当B様:近年様々な360度画像やライダー、点群データを用いた様々なソリューションが展開されています。その中でも、Actlocateはクラウド連携をせずに、コストを抑えて導入できるというのが非常に強みだと感じています。

導入コストが低く、制作も簡単。「現場から発信できるDX」なのではないかと考えています。

──ありがとうございます。Actlocateが現場DXの入り口として定着すれば幸いです。

– 2025年8月6日 対面+Teamsにて実施

 

本インタビューでは、北海道パワーエンジニアリング株式会社様がActlocateを活用し、現場DXをどのように推進しているかをご紹介しました。技術継承や教育、遠隔地との情報共有といった課題に対し、確かな手応えを得ている同社。今後の全社展開と、さらなる活用の広がりに注目です。

今後とも360度画像活用ソフトウェアActlocateⓇをよろしくお願いいたします。

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